バイトを始める際、多くの人が気になるのが交通費の支給です。
交通費は働く上で重要な費用であり、支給されないと通勤にかかる負担が増えてしまいます。
なので交通費がでるバイト選びは重要ですが、すべてのバイト先で交通費が支給されるわけではありません。
しかし、中には交通費を支給すると謳っときながら、実際は支給されないケースもあります。
そこでこの記事では、バイトで交通費が出ない場合の対処法と、法的な視点からの説明を行います。
交通費の支給条件の確認方法から、雇用主との交渉術、最終的に退職を考慮する際のポイントまであるので、参考にしてみてください。
バイトで交通費が出ないというのは普通？
近年、多くのバイト先では交通費が支給されるようになっていますが、それが必ずしも当たり前ではありません。
バイトにおける交通費の支給は、企業の規定や労働契約によって異なります。
実際には、交通費が支給されないことも珍しくなく、これは違法ではありません。
ただし、募集時や契約時に明確に交通費の支払いについて、説明されている必要があります。
企業が交通費を支給しない理由として、コスト削減や職場の立地（公共交通機関のアクセスが良い場所など）が挙げられます。
但し、場合によっては違法性があるケースも存在するので、以下で詳しく紹介します。
正社員だけ交通費の支給をしている場合
2020年4月1日から施行されている「同一労働同一賃金」の原則により、正社員とバイトが同じ仕事をしている場合は、交通費を含む賃金の面で不当な差別を設けることは違法となる可能性があります。
このガイドラインは、職務内容が同じであれば雇用形態に関わらず公平な待遇を保証することを目指しています。
したがって、同じ業務を行っているにも関わらず、正社員には交通費が支給され、アルバイトには支給されない場合、このガイドラインに基づいて異議を申し立てることができます。
但し、注意点としては同一労働同一賃金というのはあくまで賃金政策ということになり、違反した場合でも罰則はないというのも特徴です。
バイトだけ支給されない場合は請求可能
バイトが交通費を請求することができるのは、バイト以外の労働者に交通費がきちんと支払っている場合に限ります。
これは、同一労働同一賃金の原則に基づきます。たとえば、同じ業務をしている正社員が交通費を受け取っているのにバイトが受け取っていない場合、この不均等は問題視される可能性があります。
このような状況であれば、雇用主に直接交渉を申し入れることをするといいでしょう。
ただし、この過程では具体的な証拠や情報をしっかりと集め、適切な対応を心掛ける必要があります。
残念ながら交通費が出ないケースは多いのが事実
残念ながら、多くの企業では正社員と比べてバイトに対して交通費を支給しない傾向があります。
特に都市部や会社の立地が良い地域では、交通費の支給なしにもバイト応募者が集まりやすいため、企業は支給の必要性を感じにくいのです。
また、企業が交通費を支払うことによる財政的な負担を避けるために、居住地が職場に近い人を採用することが多いという現状もあります。
そして、同一労働同一賃金というのは上述した通り、違反しても罰則がないので、特に小規模の店舗だと軽視しているという現状もあるでしょう。
交通費が出ると言ってたのに出ない場合は違法？
バイトを始める際に「交通費全額支給」と聞いていたのに、実際には支払われないケースは、多くの場合、違法行為と見なされます。
労働契約法に基づき、雇用者は雇用条件を明確に提示し、合意された条件に従う義務があります。
交通費支給を約束したにも関わらず支払わない場合、労働者は労働基準監督署に相談することができます。
ただし、就業規則や契約書に交通費の支給について特別な条件が記載されている場合は、その内容によっては支給義務がないことも考えられます。
このため、契約時に提供された書面をよく確認することが重要です。
出ない場合は交渉するしてみる
交通費が支給されない場合、まずは積極的に交渉を試みることが推奨されます。
まずバイト先に対して交通費が支給されない具体的な理由を説明してもらい、可能であればその理由を書面で提供してもらうことが望ましいです。
また、自身の通勤状況を示す資料や、交通費が支給されるべき合理的な理由を提示することが、交渉において有利に働くことがあります。
交渉の際には、冷静かつ尊重ある態度で臨むことが重要です。
怒りや不満を前面に出すよりも、事実に基づいた具体的な話し合いを行うことで、解決に向けての協力を得やすくなります。
また、会社側が交通費の支給を拒否する場合、代替案として交通費相当の給料上乗せや、他の福利厚生の拡充を提案するのも一つの手段です。
就業規則や雇用契約書を確認する
交通費が出ると言ってたのに出ない場合は、必ず就業規則や雇用契約書を確認しましょう。
出来ればバイトを始める前や就業初日に確認することが大事です。
これらの文書には、交通費の支給に関する詳細が記載されているはずです。
交通費が支給される条件、支給される金額、計算方法などが明記されています。
例えば、一定距離以上の通勤でのみ支給される、または最も安価な公共交通機関の利用が前提となる場合があります。
これらの条件を理解することで、自分が支給対象であるかどうかを判断できます。
また、雇用契約書や就業規則に交通費の記載がない場合や不明確な場合は、直接雇用主や人事部に問い合わせることが大切です。
口頭での説明も求め、必要であればその内容をメモしておくことで、後のトラブルを避けることができます。
場合によっては交通費を計算後に請求する
就業規則や契約書に交通費の支給が明記されていない場合でも、実際に通勤に費用がかかっているなら、その支給を請求することができます。
この際、自分が利用している交通機関の切符やICカードの利用履歴など、通勤にかかった実際の費用を証明する書類を集めましょう。
これらの資料をもとに、実際にかかった交通費を計算し、適切な形で雇用主に提出します。
提出する際には、計算方法を明確にし、なぜこの金額が妥当であるかを説明できるように準備しておくと良いでしょう。
交通費の請求が初めてであれば、どのように申請すれば良いかも併せて雇用主に確認することが重要です。
また、請求する交通費が多額になる場合は、事前に通知し、了解を得ることも忘れないでください。
バイトで交通費が出ない場合、自分の権利を理解し、積極的に情報を集め、適切に行動することが重要です。
交通費の支給がないことがバイトのモチベーション低下につながらないよう、職場とのコミュニケーションを密にして、問題を解決するための方法を探しましょう。
バイトで交通費の支給を断られた場合
同一労働同一賃金について説明する
交通費の支給を求めた際に断られた場合、同一労働同一賃金の原則を持ち出すことが有効な戦略となり得ます。
同一労働同一賃金は、同じ仕事をしている従業員間で不合理な待遇の格差を設けることを推奨していません。
例えば、あなたと同じ業務をしている正社員や他のバイトが交通費を受け取っているのに、あなただけが受け取っていない場合。
これは同一労働同一賃金の観点から問題提起することが可能です。
このアプローチを取る際には、事前に他の従業員との間で実際にどのような待遇の違いが存在するのかを具体的に把握しておく必要があります。
また、この問題を会社に提起する際には、非攻撃的かつ建設的な方法で話を進めることが望ましいです。
リスクを伴うので慎重に判断する
交通費の請求は、場合によっては職場での立場に影響を及ぼすリスクを伴います。
特に、交渉がうまくいかなかった場合、職場内での人間関係に悪影響を及ぼすことも考えられます。
そのため、交通費を請求する前には、その結果としてどのような事態が生じうるのかを十分に検討する必要があります。
具体的には、交通費の支給が認められなかった場合、どのように対応するかをあらかじめ計画しておくことが重要です。
例えば、交通費が支給されないことが納得できない場合、他のバイトを探すことも一つの選択肢です。
支給が厳しいなら退職を考える
交通費が支給されないことで、毎月の生活費に大きな影響が出てしまう場合、退職を考えることが現実的な選択肢となるかもしれません。
交通費の支給がないことにより、具体的にどれだけの金額の損失があるのかを計算し、それを理由に退職を検討することは合理的です。
例えば、毎日の通勤に公共交通機関を使用している場合、その費用が自己負担となると、月に数千円から数万円の出費が生じることになります。
このような状況を雇用主に伝え、経済的な困難を具体的に説明することで、場合によっては交通費の支給を再考してもらえる可能性もあります。
ただし、このような決断をする前に、辞める覚悟があるかどうかを自問自答してみることが必要です。
交通費の請求や退職に応じない可能性は高い
バイト先が最初から交通費の支給を行っていない場合、交通費の請求や退職を申し出ても応じてもらえない可能性は高いです。
多くの場合、バイトを始める前に交通費の有無は確認すべき事項であり、これを怠った場合、後から条件を変えようとしても難しいと考えられます。
そのため、交通費の請求や退職に関しては、雇用主の同意が得られない可能性を前提に準備を進める必要があります。
具体的には、他のバイト先を探すことから始め、経済的なリスクを最小限に抑えつつ、より良い条件で働ける場所を見つける努力が求められます。
バイトで交通費が出ない時は辞める方が良い？まとめ
バイトで交通費が支給されない場合、最初に就業規則や雇用契約を確認し、支給条件を明らかにすることが重要です。
交通費の支給がなく、経済的負担が大きい場合は、雇用主との交渉を試みるか、退職を含めた対処を検討することが必要です。
特に同一労働同一賃金の原則に基づき、不合理な待遇差がある場合は、その点を訴えることが有効です。
しかし、交通費の請求や退職にはリスクが伴うため、慎重な判断が求められます。
