今では副業をする方も多くなってきており、学生以外でもバイトをしてお小遣い稼ぎなどをする人が増えてきています。
そこで、バイトを偽名でしてみたい!と思ったことはありませんか?
偽名でバイトをする理由は人それぞれですが、自分の好きな名前を名乗れるのであれば、プライバシーの保護をすることも可能です。
しかし、実際のところバイトは偽名で挑戦しても良いのでしょうか。
またバレるとどうなるのか、法的観点からすると違法なのでしょうか?
この記事では、バイトを偽名でする場合の法的リスクや、バレる可能性、合法的に偽名で稼ぎやすいおすすめバイトについてまで詳しく解説します。
バイトは偽名を使って採用される?
前提として、偽名を使ってバイトをすることは不可能ではなく、実際に働いている方も世の中にはいます。
一部のバイトでは、偽名でも採用している場合があるということですが、後述する法的なリスクを秘めているため、一部の仕事を除いて使うことは避けるべきでしょう。
また偽名を使った場合、バイトに採用される確率は下がります。
これは、真っ当な企業はバイトの採用であっても、身分証明書・住民票・マイナンバーなどの個人情報をきちんと確認するためです。
仮に偽名でバイトにすんなりと採用された場合、今度は「応募先がブラック企業や闇バイトなどの怪しい業者ではないか?」と疑う必要も出てきてしまいます。
よって、偽名でバイトが可能な仕事というのは、いい加減な会社の可能性も高くなりますので、注意しましょう。
バイトで偽名を使ってバレる可能性は?
残念ながら、バイトをする場合は偽名を使っていてもバレることが大半です。
また現実的な問題として、仮にバイトに採用してもらえたとしても、本名をずっと隠し通すことは困難です。
以下のような、タイミングやシチュエーションでバレてしまいます。
採用後に身分証明書の提示を求められる
多くの国では、雇用される際には法律によって身分証明書の提示が義務付けられています。
これは、雇用者が合法的に働く権利を持っていることを確認するためです。
例えば、年齢や国籍などの確認が含まれます。
また雇用主は、正確な雇用記録を保持するために従業員の身分を確認する必要があります。
これには、後述する税金や社会保険などの手続きが含まれます。
これらの理由から、身分証明書の提示は、雇用プロセスの一部として一般的ですので、偽名を使ってバイトに応募しても最終的にバレる可能性としては高くなります。
銀行口座通帳の提出でバレる
バイトの採用後に本人名義の銀行口座通帳の提示を求められる主な理由は、給与の支払いを行うためです。
雇用者は給与の支払いに関する正確な記録を保持する必要があります。
本人名義の銀行口座を使うことで、支払いが正しい人物に送金されることを保証します。
そして給与の振込み記録は、税務申告や社会保険の手続きにも使用されるため、正確な振込みが重要になります。
よって、履歴書や身分証明書と銀行口座の名義が一致しない、となりバレてしまいます。
また、他にも
- 保険や年金関連の手続きでバレる
- マイナンバーの提出を求められて発覚
- 知人と遭遇して名前を呼ばれた
などの理由により、バレる確率は高いので偽名を使う、ということはリスクが高いのです。
後から偽名だとバレてしまえば、ほとんどの場合、懲戒解雇(クビ)は免れないでしょう。
バイトをして職場に馴染む努力も、仕事を覚えた頑張りもすべてが無駄になってしまいます。
偽名でバイトをすると法的なリスクがある
偽名でバイトをする行為には、バレた時に信頼を失うおそれだけでなく、法的な観点からのリスクも秘められています。
特に注意すべきは、刑法第十七章に定められている「文書偽造の罪」に当たる可能性です。
日本の刑法では、公文書(主に国や役所が作成する文書)や私文書(公文書以外の文書)の偽造等に関して、懲役や罰金刑が課され得ます。
例えば、偽名を用いてバイトに応募し、偽の名前の履歴書や印鑑・サインのある各種同意書などを提出した場合、その様式や内容によっては逮捕されてしまう可能性があります。
また、文書偽造には当たらないケースでも「偽名を用いて採用された結果、バイト先に何かしらの損害を与えた場合」には損害賠償請求をされるリスクも考えられます。
雇用契約は、雇用主と従業員間の法的な合意を表します。
偽名を使用すると、この契約の正当性が問われる可能性があります。
契約には正確な個人情報の提供が求められるため、偽名を使うことは契約違反となり得ます。
バイトの時給レベルの賃金と引き換えに、高額な損害賠償請求をされては割に合いません。
偽名でのバイト応募は、リスクしかないので避けるべきです。
偽名を使ってバイトできるケースは?
では、偽名を使ってバイトをしても良いケースはあるのでしょうか?
求人誌に載っているような一般的なバイトでは、偽名を使っても良いケースはないと考えられます。
ただし、厳密にはバイトではありませんが、合法的に偽名の使用がある程度認められているような仕事もあります。
以下のような仕事は「個人事業」に当たるため、雇用先となる企業がおらず、騙す必要がありません。それぞれ順番に見ていきましょう。
クラウドソーシングの仕事
クラウドソーシングとは、ランサーズやクラウドワークスに代表される「お金を払って作業をお願いしたい人や企業と、作業をしてお金を受け取りたい人のマッチングサービス」です。
通常は偽名(ハンドルネーム )の使用が可能で、本名を取引相手に伝えないままにお金を稼ぐことができます。
お金を稼げる作業内容は多岐に渡り、文章作成、ロゴ作成、作曲、統計分析、翻訳、カウンセリングなど様々です。
ただし、多くのクラウドソーシングでは、本名を使うことで優遇された状況になっているのも現状です。
例えば、検索画面の上位に自分の名前を表示して目立つ格好になり、仕事依頼が増えるような状況になる場合もあるので、こだわりがなければ本名を使った方が有利ではあります。
しかし、振込先の口座名義は本名と一致する必要があるなど、完全に偽名で完結できるわけではありません。
あくまで仕事相手に本名を知らせることはなく、お金を稼げるサービスです。
文筆業
小説やコラムの執筆をはじめとする文章を書く仕事(文筆業)では、ペンネーム(筆名)という事実上の偽名の考え方が認められています。
例えば、漫画家など本名を公開している人もいれば、ペンネームで活動している方もいますよね。
ペンネームは契約書にサインをする際にも有効であると考えられており、工夫次第で本名を開示しないままにお金を稼ぐことも可能です。
ただし、インターネット上で業務を完結させたい場合、原稿料の振込先口座を伝える必要があるため、結果として本名のカタカナ表記がバレることはあります。
YouTuberなどの動画配信者
近ごろ流行のYouTuberをはじめとする動画配信者も、偽名で稼ぎやすい仕事です。
多くの動画配信者はハンドルネームで活動しており、公に本名を公開しないままに収益を挙げています。
ただし、動画配信者も、Googleなどの動画サイトの運営者には本名を伝える必要があります。
本名をまったく使わないのではなく、露出を最低限にしたい方向けの職業です。
偽名でバイトをしたい理由とは
ではなぜ、デメリットがあるにも関わらず偽名を使ってバイトをする方がいるのでしょうか?
普通は不思議に思うはずです。そこで、ここではよくある理由を3つご紹介します。
過去にトラブルのあった系列店で働きたい
特にありがちなのが「過去にバイトをしていたお店をトラブルで辞めたが、今度もその同一チェーン店や系列店で働きたい」といった場合です。
例えば、大手コンビニでのバイトを辞めた後、既に持っている知識を活かして同じチェーンのコンビニでまた働きたいケースが該当します。
そして以前にバイトを複数応募していて、一度は断ったバイトだったので、再応募しにくいので偽名で応募したいという場合もあります。
自分の本名を気に入っていない
キラキラネームであったり、そうでなくても好きになれない名字・名前であったりと、自分の本名を気に入っていない時も偽名を使ってしまいがちです。
例えば、名字はそのままにファーストネームだけを変えたり、読み方は変えずに漢字のみを変更したりと、本名の一部をもじる偽名を使う方がいます。
犯罪により本名を隠す必要がある
恐ろしい理由として、過去の犯罪により指名手配を受けて逃げているなど、本名を隠す必要性があるためバイトで偽名を使う方もいます。
そのため、たとえ自分は軽い気持ちで偽名を使ったのだとしても、バレたときには「犯罪歴でもあるのでは…」とこのような方々と同一視される可能性があることは知っておきましょう。
バイトは偽名を使える?のまとめ
この記事では、偽名を使ってバイトをすることについて、よくある理由や法的なリスク、偽名で合法的に稼ぎやすい仕事をご紹介しました。
バイトを偽名で行うと、文章偽造の罪に触れたり、損害賠償請求をされたりといった法的なリスクを抱えてしまいます。
そしてバイトに応募しても、最終的にはバレる可能性が高いので、偽名でバイトをする行為はNGと言っても過言ではないでしょう。
どうしても偽名で稼ぎたいのであれば、企業に雇用されるバイトではなく、クラウドソーシングのような場所で個人事業として働くといいでしょう。
しかし、クラウドソーシング側には本名で登録する必要があるので、100%偽名でバイトをする、ということは厳しいと言えます。